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概要:英国の伝統的な庶民の味として親しまれてきた「フィッシュ・アンド・チップス(揚げた白身魚とポテト)」がインフレの波に押し流されようとしている。
ロンドン西部ウエスト・ドレイトンにある専門店フックト・フィッシュ・アンド・チップスでは、店を運営するバリー・シンさんが売り上げの維持に大苦戦。材料の魚やじゃがいもから、食用油、さらに衣に使う小麦粉まで軒並み価格が跳ね上がったからだ。
シンさんはロイターに「魚も油も、われわれが売っている商品が出来上がるまでに使うもの全てが法外な値上がりをしている」と苦境を訴えた。
ウエスト・ドレイトンを選挙区としているジョンソン首相はかつてフィッシュ・アンド・チップスを片手に、新型コロナウイルスのパンデミックからの「ビルド・バック・バター」を約束した。本来の「ビルド・バック・ベター(より良い復興)」の「ベター」を「バター(衣)」に置き換えたダジャレだ。
しかし、英経済は物価高騰によってさらに回復軌道から外れつつある。信用調査会社カンパニー・デットによると、フィッシュ・アンド・チップス販売業者の3分の1は今年、さまざまな物価圧力が重なる最悪の状況のせいで倒産の危険にさらされているという。
カンパニー・デットによると、わずか1年の間に、英国民が大好きなマダラとコダラの価格は75%、ひまわり油は60%、小麦粉は40%も上昇している。
4月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比9%の上昇と40年ぶりの高い伸びで、先進7カ国(G7)で最高を記録。さらに上がる見通しとなっている。英国では消費者の悲観ムードが他の欧州諸国より強まり、政府とイングランド銀行(中央銀行)の物価対策に批判が集まっている。
シンさんの店で売っているフィッシュ・アンド・チップスの値段は1年前の1セット7.95ポンド(約1300円)から9.50ポンドに上がった。もっとも全てのコストを転嫁すれば、価格は11ポンド近くになる。「この地域の他のファストフード店と競争できるように販売価格を妥当な水準に据え置くのが難しくなっている。実際のところ、店の売り上げは落ち、お客さんは素通りしていく」という。
フィッシュ・アンド・チップスの値上がりには、客側からの困惑の声も聞かれる。イングランド南部の海岸沿いにある町スワネージで取材したパウラ・ウィリアムズさん(66)は、専門店「フィッシュ・プレイス」の外のベンチに座りながら、「ここに来て自分1人分だけ頼むのは問題ないが、それでも11ポンドだった。5、6人分を買えば、恐らくレストランに行くより高くなってしまう」と語った。ウィリアムズさんは介護の仕事をしている。
5月26日、英国の伝統的な庶民の味として親しまれてきた「フィッシュ・アンド・チップス(揚げた白身魚とポテト)」がインフレの波に押し流されようとしている。写真は25日、ロンドン西部ウエスト・ドレイトンにある専門店フックト・フィッシュ・アンド・チップスで、取材に応じるバリー・シンさん(2022年 ロイター/Peter Nicholls)
<ブレグジットから続く受難>
フィッシュ・アンド・チップスは、160年前に生まれてからずっと英国民の力の源になってきた。人々にとってどれほど不可欠の存在かを物語るエピソードの1つとして、2度の世界大戦中も配給制度の対象とはならなかった。今も英国内のほとんどの町で、販売業者の姿を見ることができる。
そうしたフィッシュ・アンド・チップス店を悩ませている今回の受難は、英国の欧州連合(EU)離脱から始まった、と遠洋漁業を手がけるUKフィッシャリーズは指摘する。同社の見積もりでは、今年英国に認められた北極圏におけるマダラの漁獲量は、ブレグジット(英のEU離脱)前の40%程度にまで減少した。
さらにロシアのウクライナ侵攻で燃料と電力料金が上がり、魚を捕まえるにも揚げるにもコストが増大し続けたほか、戦争で食用油や肥料、小麦の価格も上がっている。マダラとコダラはノルウェーとロシアの北方にあるバレンツ海が漁場となっており、戦争によってこの地域での漁獲量がどうなるか不透明感が強まった。
3月には英政府が対ロシア制裁の一環として、ロシア産白身魚を35%の関税適用対象に加えると発表。ただ現在は影響を調査するとして、実施は保留されている。
一方ひまわり油は英国がウクライナから輸入している主な農産物で、英政府は他の植物油で代替する対策に取り組んでいる。例えば菜種油の収穫量が多かったオーストラリアから輸入しつつある。
英環境・食糧・農村地域省は、フィッシュ・アンド・チップスの団体NFFFなどと協力して業界が直面する諸課題を切り抜ける努力をしていると表明した。ただNFFFのクルック事務局長は「事業が立ちゆかなくなるのではと心配した業者からの電話が毎日鳴り止まない」と危機感をあらわにした。
<貧しい人の食べ物>
民間データによると、英国内の繁華街における客足は、パンデミック前だった2019年比で15%減少している。
KPMG UKのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は、フィッシュ・アンド・チップス業者は、より大規模な事業体よりも悪影響を受けやすいと分析する。世界的な物価高騰局面で仕入れ価格の交渉力を持たないからだ。
前出のシンさんはやむを得ずコスト削減の道を探り、仕入れ値が安いメルルーサやスケトウダラといった魚をメニューに加えた。それでも大量のエネルギーを消費する調理器具は稼働させておかなければならない。「お客さんがこなければ赤字になるが、油を高温に保っておく必要がある」と嘆く。
スワネージで取材した建設業界勤務のマルコム・ペセリックさん(73)は「私が少年だったころ、フィッシュ・アンド・チップスは貧しい人たちの食べ物だった。さっき2セットを買ったら23ポンドもした。一体どんな世帯に買う余裕があるのだろうか」と驚き、フィッシュ・アンド・チップスという英国の文化的な遺産の一部が失われてしまうのではないかと懸念していた。
(Lucy Towers記者、Alistair Smout記者)
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